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原発と原爆は同じ

今こそ大空襲体験の継承を

今月の提言者 橋健治さん(NPOみなと)

 最悪としか言いようのない、大飯原発の再稼働が強行されました。福島原発事故の原因すら解明されない中で「安全」と判断した政府は原発の「安全神話」を復活させるつもりなのか、これは暴挙ではなく愚挙(ぐきょ)です。そして消費税増税法案成立を巡るゴタゴタの中、「原子力基本法」に「我が国の安全保障に資する」という文言(もんごん)を入れる法改正がいつの間にか成立しました。「核兵器開発」を目論(もくろ)む意図の疑念があります。「安全保障」という言葉は日本語でも英語でも「国家の防衛」という意味がありますが、今更なぜこのような文言を新たに挿入する必要があるのか、今後注視していかねばなりません。原爆と原発は同じなのです。
 ◆核戦争の映画から
 そうした核の恐怖を改めて思い知らされたのが、最近、DVDで観(み)た『渚(なぎさ)にて』という映画です。1959年製作で、主演は往年の映画ファンにはお馴染(なじ)みのグレゴリー・ペック、最近のCGを駆使した派手な映像ではなくモノクロです。
 ―1964年、第3次世界大戦―核戦争―が勃発し、南半球の一部を除いて放射能汚染で人類が死滅する。そこに係留する潜水艦が、米国の死滅したはずの地域から解読不能の無電を傍受(ぼうじゅ)する。果たして生存者がいるのか―。
 無電の顛末(てんまつ)は省略しますが、登場人物の会話から、自身もやがては放射能汚染で死んでゆくということが分かります。無人の街の映像の不気味さ。また、どこで己(おのれ)が死を迎えるのか、放射能汚染の苦しみから逃れさせるため家族に薬物を飲ませるのか否か、苦悩する姿がリアルで、観る者に訴える迫力がありました。
 ◆亡くなりゆく体験者
 その一方で、大空襲体験の語り部(べ)として活動されている方のお話として、最近、大学生などが広島・長崎の原爆研究の過程で「大阪にも大空襲があった」という当たり前のことで教えを請うてくることが少なからずある、と聞きました。このことを私たちは真剣に受け止めねばなりません。戦後67年、戦地体験はもとより、空襲体験をされた方も、その多くがお亡くなりになり、若い人たちに継承することが年々困難になっているからです。
 ◆偉大な足跡を継承
 そんな中で今年3月、私たち自身も大きな柱を失くしました。大和田幸治(こうじ)・NPOみなと代表理事の逝去(せいきょ)です。港新聞四月号では労働運動の功績などと共に大きく取り上げてもらいましたが、一言で表わすことは不可能と思われる、その偉大な足跡(そくせき)と志(こころざし)を、私たちは今後の活動の中でこそ継承しようと決意しています。
 また5月、大阪大空襲研究などの第一人者であり、「第6回大空襲の体験を語る集い」の講師をして頂いた小山仁示(ひとし)・関西大学名誉教授が逝去されたことも、戦争体験を継承する運動にとって大きな損失でした。
 ◆語る集いに参加を!
 そうした中、「憲法9条を守る」「反原発」の立場を明確にして行動するノーベル賞作家の大江健三郎氏は次のように主張されています。「『私たちはこう聞いた』と歴史を歪(ゆが)めることなく後世に引き継がねばならない」と―。
 今年もNPOみなとの主催で、8月11日(土)午後1時から田中機械ホール(南市岡)で「第12回大空襲の体験を語る集い」を開催します。参加費無料で、どなたでも自由に発言できますので、奮ってご参加下さい。〈最終頁に広告〉
 最後に、やはり原発と原爆は同じです!
                     ×  ×  ×  ×  × 
※このスペースは、社会や地域への思いを自由に述べて頂けるよう読者のみなさんに開放しています。

                                       (2012年7月15日)


 
 
 
 
 
 
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