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日本の食料と国土を守る運動を広げよう

今月の提言者 永砂義明さん(73) /八幡屋


(2011年9月15日/145号)

    私たちが生きていく上で欠かすことができない 「食」 は、農業によって支えられています。人々の暮らしがその国の 「豊かな大地から」 というのは国の基本的な在り方ではないでしょうか。
ところが昨秋、耳慣れない横文字が急に国政の大問題になりました。TPP(環太平洋連携協定)です。この問題を私たち国民が正しく認識しないと国の進路への判断を誤り、大きく国益を損なうことになります。

◆農林水産業が壊滅へ
 TPPの最大の特徴は、農産物を含めて全ての物品(モノ)の関税撤廃を原則にしていることです。それは第一に、TPP参加は日本の農林水産業に大打撃を与えるということです。米作りは90パーセントが破壊され、ワカメ、コンブ、サケ・マスなど水産業にも壊滅的な
被害が及びます。これは大震災からの復興に大きな障害をもたらし、被災地の方々の苦しみに追い討ちをかけることになります。
   
◆あらゆる分野に被害
 第二に、TPP参加は農林水産業だけでなく国民生活のあらゆる分野に被害をもたらします。食品の安全が保障されない、混合医療の導入でお金持ちしか医療が受けられない、雇用の不安定化が益々拡大する等々。その影響は下表を見れば一層歴然とします。
 第三に、TPP参加は日本経済をガタガタにします。国民生活内需を犠牲にして輸出企業だけを応援するため「円高体質」「産業空洞化」が一層ひどくなります。金融のグローバル化がさらに進んで投機マネーが自由勝手に動き回り、絶えず金融危機のリスクにさらされることになります。

◆アメリカが主導
 第四に、こうした百害あって一利なしの協定になぜ慌てて参加しようとするのか。それはアメリカの圧力があるからです。もともとはニュージーランド、シンガポールなど四カ国の協定でしたが、遅れて加盟したアメリカが拡大を主導し、それに日本の財界が乗る形で推し進められているのです。深刻な財政難に苦しむアメリカの標的はあくまで日本の巨大市場とマネーであり、そのためあらゆる分野の基準を米国に合わさせようとしているのです。

◆公正な貿易ルールこそ
 JA(全国農業協同組合)中央会の取り組んだ反対署名は1120万人に達しました。公正で民主的な貿易ルール、自国の食料は自国で生産するという 「食料主権」 を確立することこそ大切です。アメリカと日本の財界の身勝手のために国益を損なうことのないよう、諦らめずに粘り強く、参加を断念させるまで反対を貫きましょう。

 
 
 
 
 
 
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