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国の指針に則した津波避難ビル協定に

区長提言に応えて

今月の提言者 森 俊隆さん(82) /築港

  昨年11月の本欄に、近い将来の津波来襲を見据えた田端区長様の 「提言」 が掲載されました。そのポイントは、@昭和56年の新耐震設計基準に適合する民間ビル(マンションを含む)の所有者に津波避難ビルの指定について協力を求める A今後、協定書に建物所有者、連合町会長区役所の3者が調印する B施設・備品の破損時等の対応については連合町会長、区役所が現状に復するよう努めるものとする C津波避難ビルについての現行の国の指針は大阪市域には適用されない―というものです。

後退もある新協定
  @、Aは賛成です。
  Bは反対です。築港の現行の協定書は 「地域住民等が建物・器物を破損・汚損した場合は、連合町会長が現状に復する」 とあり、連合町会長に負担を押し付けている点は賛成できませんが、建物所有者に対する最低限の義務は明記されています。一方、新しい協定の文言は 「努めるものとする」 と変更されており、明らかに後退しています。
  国の指針が示すとおり、区役所が原状回復費用を全額支払うと協定書に明記してこそ、ビル所有者は安心して協力してくれるのではないでしょうか。
  Cの見解にも反対です。
  「東南海・南海地震発生後、約2時間で大阪市に津波が到達する」 というのはあくまでも一つの 「想定」 にすぎません。震源地の一や地震の規模によって変わります。国の指針の適用、不適用を津波到達想定時間の長短だけをモノサシにして判断するのは誤りだと思います。
  また、津波避難マップや津波避難図上演習での情報をもとに 「大阪は2時間余裕がある」 と思い込んでいる人が少なくありません。情報の伝達には十分注意して頂きたいと思います。

区役所責任を明確に
  国の指針の第1ページには、津波避難ビル指定の重要性を指摘した次の文章がみられます。区長様も重々ご承知と存じますが、あえて引用します。
  「津波から我が身を守るためには、まず高台に避難することが大原則であるが、高台までの距離に相当の時間を要する平野部(中略)では、津波からの避難地確保が容易でなく、大きな課題となっている」
  港区は上町台地から遠く離れた 「平野部」 に位置しています。区役所が現在進めている民間ビル所有者を対象にした津波避難ビル指定事業は、まぎれもなく、「国の指針を適用した」 ものです。
  そして、この事業を成功させるためには、現行の協定書の文言を 「地域住民等が建物・器物等を破損・汚損した場合は、区役所が現状に復する」 と書き改め、区役所の責任を一点の曇りもなくビル所有者に示すことが必要です。
  津波避難ビルは、区民の最後の命綱です。
  市内有数の津波危険地帯の区長として、国の指針を真摯に読み返し、決断して頂きたいと思います。
〈津波高潮対策築港の会代表幹事〉
(2012年2月15日)


 
 
 
 
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