・トップ
 ・あさやけ
 ・私の提言
 ・人物列伝
 ・みなとの技
 ・団塊つれづれ草
 ・読者コーナー
 戦争体験
 紙面全てを見る
 
  
 
バックナンバー
  

               
  「暇やからと店の主人に言われて辞めました。雇用保険が切れたら野垂れ死にです」 「若い人を入れたいからと首になりました。預金を崩していますが不安でたまりません」 「今の企業や社会は利益や効率ばかり。人を幸福にしようという姿勢がない」 「政府は仕事を生み出す実質的な施策を」−次々と飛び出す不安や憤りの声。3年前のリーマンショック以降の不況の “深止まり” で港区にも失業者が溢れています。年末、南市岡1丁目のハローワーク大阪西(大阪西公共職業安定所)で職を求める人たちの表情には “待ったなし” の切迫感がありました。
      

  年の瀬の12月下旬、ハローワーク大阪西へ求職活動に訪れた人たちに事情を訊きました。

給付金を受けながら
  港区内から来た47歳男性は、10年勤めた金融関係の会社をリストラされ、10カ月の失業手当生活のあと 「求職者支援制度」 を利用し、月10万円の給付金を受けながら職業訓練(6カ月)に通い始め、3カ月が経過しました。「ビル管理の仕事を求めていますが、見通しは厳しいです。政府は色々やっているようですが結果的には無策と同じ。本当に仕事を生み出せる実質的な施策を打ち出してほしい」 と話していました。

◆年齢で断られ続ける
  大正区から来た一人暮らしの60代男性は、30年勤めて定年退職した建設会社に再雇用されましたが、昨年2月、「若い人を入れたいから」 と首になりました。「慣れた経理の仕事にこだわらず、何でもええと思っていますが、年齢を聞いてどこからも断られ続けています。失業手当と預金を崩しながら暮らしていますが、不安でたまらなくなります。政権が変わっても同じと諦めていますが、せめて歳をとっても働ける世の中にしてほしいし、仕事がなくても年金で暮らしていけるようにはしてほしい。生活保護より少ない年金なんて年金とは言えませんからね」 と話していました。

◆合った仕事がない
 
大正区から来た41歳男性は、運転手として4年ほど働いてきましたが、「自分に合っていない」 と辞めました。「失業手当で食いつないでいます。二種免許を生かした仕事をと思っていますが、なかなか見つかりません。憲法で職業選択の自由が謳われていますが、自分に合った仕事がない現状では絵に描いた餅。橋下さんに少し期待しています」 と話していました。

◆離婚で感じる厳しさ
  港区内から来た39歳女性は、離婚して中学3年生から5歳まで4人の子を抱え、パートで倉庫の仕事をしながら美容師の職を探していました。「せいぜい月十万のパートではやっていけませんからね。美容師の国家資格を取って就職したいと思っています。昭和18年生まれの父や20年生まれの母の世代より私たちはずっと不安定ですが、子供たちの世代はもっと厳しくなるでしょう。税金はたくさん払っても老後が安心な北欧のような社会の方がいいのでは。離婚して余計そう感じます。橋下さんには少し期待しています」 と話していました。

◆雇用保険切れたら
  住之江区から来た30代女性は港区内の健康関係の店の主人から 「暇やから、悪いけど…」 と言われ、昨年9月に失職しました。「できれば同じ健康関係をと思っていますが、なかなか見つかりません。一人暮らしで、1月に失業手当が切れたら家賃も払えず野垂れ死にです。自分の事で精一杯で、社会的な原因とか考える余裕はありません」 と力なく笑っていました。

◆今は利益や効率ばかり
 大正区から来た24歳女性は 「色んな仕事を経験したい」 と2年間続けた営業職を12月5日に辞め、パートで月十万円ほどの収入を得ながら事務系の仕事を探していました。「面接を5回ほど受け、結果待ちです。4歳の子がいますが、主人が会社員で、まだ恵まれた方です。今の企業や社会は利益や効率ばかり追って、技術者を育てるとか国民を幸せにするとかいう姿勢がほとんどない。今の状況はあれこれの失敗というよりも、こんなところに原因があるのではないでしょうか」 と話していました。

◆徐々に改善も厳しく
 こうした最近の求職・求人状況について、港区、西区、浪速区、大正区、中央区(一部)を管轄エリアとするハローワーク大阪西の小松博業務部長は大要次のように話してくれました。
@ リーマンショックで急激に厳しくなった求職状況はその後徐々に改善され、東日本大震災で一時落ち込んだものの、再び改善の傾向を見せている。具体的には、大阪府の有効求人倍率は平成18年度の1.25が21年度には0.47まで落ち込み、その後、徐々に回復して、23年10月には0.68になった。
A 職業別では、保安・自動車運転・電気・建設・土木・薬剤師・看護師・医療技術・販売・サービスなどで人手不足があり、一般事務・製造・清掃などでは求人不足というのが10月時点での状況だ。
B 失職の原因では、リーマンショック直後には事業主都合が非常に増えたが、今では自己都合の方が多くなり、大阪府の最近の統計では自己都合が約55パーセント、事業主都合が約30パーセント。
C 年齢別では45歳以下の就職率が約7割に対し、45歳以上は約3割と、年配者には厳しい数字が続いている。

◆ミニ面接会などで支援
 こうした厳しい求職状況に対してハローワークでは一人ひとりへの個別支援を中心に様々な対策を講じていますが、主に次のようなものがあります。
@ 仕事帰りや土・日・祝日にも利用できる 「ハローワークプラザ難波」 を開設(地下鉄なんば駅24号出口、06-6214-9200)。
A 女性のための職安 「大阪レディース&マザーズハローワーク」 をハローワークプラザ難波内に開設(06-7653-1098)。
B 昨年10月発足の 「求職者支援制度」 の対象者(雇用保険を受給できない失業者など)に強力な就職支援。
C 履歴書の書き方や面接の受け方などを指導する 「再就職支援セミナー」 をそれぞれ月2回ほど実施。
D 書類選考が多い現状を改善するため 「人物を見てほしい」 と企業に要請。
E 区民センターなどを会場に 「ミニ面接会」 を実施。
F 求人検索をより効果的に行なえるよう入力項目を限定するなど、見やすいパソコン設定に改善。
G パソコンが苦手な中高年のため旧来のファイル式閲覧スペースを存続。

◆労組も相談呼びかけ
 一方、中小零細企業労働者のセンターとして戦後から港区で活動する全国金属機械労働組合 「港合同」 では、中小零細企業や派遣・パート・バイト・期間・契約などの非正規で働く労働者、また倒産、解雇、派遣止め、契約解除などに直面している労働者に対し、「泣き寝入りせず、一人で悩まず、気軽にご相談下さい。秘密厳守、無料です」 と呼びかけています。港合同 南市岡3-6-26、06-6583-4858

 
 
 
 
 
 
 
Copyright 2012, Allrights Reserved.
港新聞社(代表・飯田吉一)
大阪市港区田中3-3-3