津波避難ビル協定は
区役所を含む3者で
今月の提言者 田端尚伸さん(52) / 港区長
港区長の田端です。先月の森俊隆様の提言(前号2面「叫んでいいとも!」)を受けて、現在の港区の防災対策についてご説明させていただきます。
◆全地域で避難訓練
港区では、6月に地域防災フォーラムを3回開催し、自助、公助、共助の役割分担、地域コミュニティや日常生活でしっかりと防災意識を持つ重要性等について理解を深めていただきました。そして9月から12月にかけて、連合単位で全町会が参加する形で、津波避難を想定した図上訓練と、実際の避難誘導訓練を実施しています。
図上訓練には、町会長や防災リーダに加えて班長さんにもご参加いただき、避難経路・場所の確認、障がい者など要援護者の安否確認など自分たちのまちの強み、弱みを話し合っていただき、10月下旬までに全11小学校下で実施、1300人を超える方に参加いただきました。
更に、この図上訓練を踏まえて、実際に安否確認を行いながら小学校の3階以上に避難する訓練を12月上旬までに全小学校下で実施しています。
避難、安否確認は向こう三軒両隣のご近所が基本となります。この訓練を通じて、日常生活において、誰とどこに避難するか、常に意識していただきたいと思います。
◆避難ビル指定進める
津波を想定した場合、緊急一時的にどこに逃げるかが極めて大きな課題です。大阪市では、今回の東日本大震災を踏まえて、公共施設や大規模施設を対象として津波避難ビルの指定を行うこととしており、現在、全小中学校や基準に合致する市営住宅、ホテルプラザオーサカ等民間施設と協定を結び、今後、この指定を進めていきます。
また各区においては、昭和56年以降の新耐震基準の3階建て以上の民間ビル所有者に働きかけ、地域と区役所で協定を結んでいくこととしています。
港区では既に、図上訓練時に津波避難ビルリストを地域にお渡ししており、11月以降具体的に地域の皆様とともに協定の働きかけを進めていきます。
◆今後は3者で協定
先月号の森様のご指摘の通り、平成21年3月の築港地区の津波避難ビルは、建物所有者と連合町会長の協定でしたが、今後は、築港地域で既に協定されている津波避難ビルを含めて新基準の対象となる建物所有者と連合町会長そして区役所の3者で協定を結び、施設・備品の破損時等の対応については、連合町会長、区役所が原状に復するように努めることとします。地域の皆様と一緒に建物所有者に丁寧にご説明をしていきたいと考えています。
◆国の指針について
なお、平成17年に出された津波避難ビルについての現行の国の指針は、地震発生から比較的短時間で津波が来襲する津波浸水予想地域において、津波避難困難者となる可能性の高い地域住民を対象とした津波避難ビルの指定等についてのガイドラインであり、大阪市域には適用されない、というのが本市の見解です。
(2011年11月15日)